マラソンの30km走に正解はある? ペース・コース・目的から考える

マラソンの30km走をペース・コース・目的から考えるアイキャッチ画像 ランニング

昨日は、私が所属しているランニングチームの20kmペース走の日でした。

北海道マラソンが近づくこの時期、いろいろなチームで「3週間前に30km、2週間前に20km、前の週に10km」といったペース走練習会が組まれます。

給水も用意され、同じくらいの目標を持つランナーと一緒に走れる。とてもありがたい機会です。

ただ、今年の私はこの流れにほとんど乗っていません。

練習会が嫌になったわけでも、「30km走なんて必要ない」と考えるようになったわけでもありません。

単純に、自分の体調とタイミングが合わなかったからです。

以前の私なら、それでもなんとか予定を合わせて参加しようとしたかもしれません。

今は少し考え方が変わりました。

「30km走はどのくらいのペースで?」という質問

以前、チームのLINEで、

「30km走は、どのくらいのペースで走ったらいいですか?」

という質問が出たことがあります。

もっともな疑問です。

チームにはサブエガ(フル2時間50分切り)のランナーから、まずはフルマラソン完走を目指す人まで、さまざまな走力のメンバーがいます。

サブ3クラスのチームメイトからは、「30km走はレースペースより落として走っていた。それでも目標は達成できた」という経験談が出ました。

なるほどと思う一方で、私は少し考えました。

レースペースより何秒落とす、あるいは何割落とす。

これはある程度走力のあるランナーなら、とてもわかりやすい考え方です。

でも、完走を目指しているランナーにも、同じ考え方をそのまま当てはめられるでしょうか。

そもそも30kmを連続して走った経験が少ないなら、一定のペースを守ることより、長い時間動き続けることのほうが大きなテーマになるかもしれません。

「30km走」とひとことで言っても、走力によって目的は変わります。

だったら当然、適したペースも一つではありません。

同じ30kmでも、やっていることはかなり違う

30km走というと、一定ペースで30kmをノンストップで走る練習をイメージする人が多いかもしれません。

でも、市民ランナーが実際にやっている30kmはさまざまです。

走り方主な目的・確認したいこと
給水付きの30kmペース走一定ペースを維持できるか、後半の余裕
一人で行う30kmペース走ペース維持に加えて給水や自己管理
信号・コンビニ休憩ありの30km長時間動く力、脚の変化、立て直しスキル
変化走30km(緩急異なる区間を繰り返す)心肺機能や筋持久力の向上

どれが上で、どれが下という話ではありません。

ただし、同じ「30km走」として同じ物差しで評価するのは違うと思います。

参考までに次のGarminログは以前、私が参加した給水とペーサーが完備されている大規模な練習会のものです。

豊平川の河川敷で行われた30km走練習会のGarminマップ
5kmおきに給水できるよう設計された30km走練習会
サブ4ペーサーに導かれて30km走った時のGarminペースグラフ
サブ4ペースをイーブンで走るペーサー付き練習会

「途中で止まる30km走は意味がない」のか

「途中で立ち止まる30km走には意味がない」という趣旨の意見を見かけることがあります。

言いたいことはわかります。

30kmを連続して一定ペースで走れるか確認したいのに、5kmごとに長く休んでGarminを止め、元気になったらまた走る。

それを「30kmをこのペースで走れた」と評価するのは、確かに違います。

でも、だからといって、その30kmに練習としての意味がないとは思いません。

3時間、4時間と身体を動かすこと。

20kmを超えたあたりから脚がどう変わるかを知ること。

給水して、また走り出すこと。

疲れてきたときにフォームを崩さず走ること。

こうしたものを目的にするなら、途中で信号に止まったり、給水したりする30kmにも十分意味があります。

札幌のランナーはよく「マコ10」をやります。1周約3kmの真駒内公園を10周する練習です。1周ごとに給水を兼ねたレストを入れれば、ロングインターバルのような組み立てにもできます。

大事なのは、

「止まったか、止まらなかったか」ではなく、その30kmで何を練習したのか。

だと思っています。

逆に言えば、「とにかく合計30kmになればいい」と考えるだけでは、せっかく長い距離を走るのにもったいない。

途中で止まるなら止まるで、その30kmをどういう練習として位置づけるのか。

そこは自分なりに考えておきたいところです。

ペースと同じくらい「どこを走るか」を考える

30km走を考えるとき、もうひとつ見落とされやすいのがコースです。

私はたまたま、比較的長い距離を信号にほとんど止められず走れるサイクリングロードの近くに住んでいます。

そのため長いペース走をするときも、「なるべく止まらず走れる場所を選ぶ」というのが当たり前になっていました。

ところが以前、ラン友さんと一緒に走ったとき、普通の歩道をかなり速いペースで走ることになり、驚いたことがあります。

考えてみれば、誰もがペース走に適したコースの近くに住んでいるわけではありません。

信号の少ない河川敷やサイクリングロードへのアクセスがいい人もいれば、普段の練習場所は歩道しかないという人もいます。

同じキロ6でも、平坦で信号のないコースを走るキロ6と、アップダウンのある道を走るキロ6、歩行者や自転車を気にしながら歩道を走るキロ6では、同じ練習とは言えません。

だから30km走のペースを考えるなら、同時に「どこで走るのか?」も考えたほうがいいと思っています。

怪我をして、ペースより接地を考えるようになった

これは私自身、長い期間走れなくなる怪我をするまで、あまり考えていませんでした。

以前は普通の歩道でも河川敷でも、

「今日はこのペースで走る」

と決めたら、その数字を守ることを優先しがちでした。

ある意味、ノルマのように考えていたのだと思います。

その後、シンスプリントで長期離脱を経験しました。

もちろん、シンスプリントの原因を単純に「設定ペースを守ろうとしたから」と言うつもりはありません。

ただ、怪我を経験してから、練習で見る順番は変わりました。

今は時計に表示されるペースより、身体に負担の少ない接地で走れているかを優先しています。

アップダウンや路面の変化が大きい場所で、平坦なコースと同じ数字を出そうとすれば、無理な走りになることがあります。

逆に、走りやすい場所なら自然にペースが上がります。

無理のない接地で効率よく前に進むことを意識するのは、怪我を繰り返さず、ランニングエコノミーを高めていく上でも大切だと思っています。

私自身も、コースによってペースを変えている

私の場合、屋内で長い距離を走るときには、レースペースと同等程度に設定することがあります。

信号もなく、路面も安定しています。

給水するときにはGarminを止め、走っている時間と給水時間を分けて集計することもあります。

これは「一定のペースでどのくらい走れるか」を見たいからです。

一方、近所のアップダウンが多く、変化に富んだサイクリングコースを走るときは、かなりペースを落とします。

そこで屋内と同じ数字を出す必要はないと思っています。

同じ人間が同じ30kmを走る場合でさえ、コースが変われば設定ペースは変わります。

そう考えると、「あなたの30km走は○分/kmが正解です」と数字だけで決めるのは、なかなか難しいのではないでしょうか。

札幌市白石区にある「こころーど」と呼ばれるサイクリングコース。春に撮影したので桜並木がある。
全長約20km、信号は2つだけで走りやすいマイコースですが、自転車や散歩の人に配慮しながら進みます

定石を否定しているわけではない

私も以前は、マラソン練習の方法がよくわからず、「大会3週間前に30km」といった定石に積極的に取り組んでいました。

そして、実際にそれで走力も伸びました。

だから、定石には意味があると思っています。

給水まで用意された練習会で、ペーサーや仲間と一緒に30km、20kmと走れる環境は、今でもとてもありがたいです。

ただ私の場合、体調を練習会の日程に合わせることが難しいこともあります。

以前は無理をしてでも予定された練習をこなそうとすることがありました。

それだけが原因ではもちろんありませんが、無理が重なり、持病の膠原病が悪化して入院した経験もあります。

たいしたPBを持っているわけでもない、へっぽこ市民ランナーです。

それでも何年か走って、怪我もして、体調も崩して、マラソン練習のやり方はだいたいわかってきました。

だから今は、練習予定に身体を合わせるのではなく、身体に練習を合わせるようにしています。

練習会は「自分の設定で走る場所」とは限らない

自分のレースペースを基準に20km、30kmを走れる体調ではない。

そんな日もあります。

だからといって、何もできないとは限りません。

チームメイトに目標ペースを聞き、自分にとって余裕のあるペースなら、ペースメイクを買って出ることもあります。

これは私自身にとっても、いい練習になります。

誰かを引いている以上、自分の調子がいいからといって勝手にペースを上げるわけにはいきません。

決めたペースをできるだけイーブンに刻む。

自分にとって余裕のある強度で距離を踏みながら、ペースを上げすぎないためのモチベーションにもなります。

練習会は、自分のレースペースで走るためだけの場所ではないんですよね。

今年は自分のレースとのタイミングがうまく合わず、せっかくの練習会を十分に活かしきれていません。

それでも、その時々の体調と目的が合えば、これからも参加したいと思っています。

30km走に「これが正解」はない

30km走は、どんなペースで、どんなコースを走ればいいのか。

結局、私はこの問いにひとつの数字や方法では答えられません。

走力が違う。

目的が違う。

体調が違う。

走れるコースも違う。

給水できる環境も違う。

同じ人でも、その日によって違います。

だから私は、

目標タイム → 30km走の設定ペース

といきなり決めるのではなく、

何を練習したいのか → 今日の体調はどうか → どこを走るのか → その結果、どのくらいのペースで走るのか

という順番で考えています。

給水付きの練習会でノンストップの30kmペース走をするのもいい。

信号に止まりながら一人で30km走るのもいい。

ゆっくり長時間走るのもいい。

誰かのペーサーをするのもいい。

ただ、それぞれ同じ30kmではありません。

「30km走をやった」という数字だけで満足するのでも、「途中で止まったから意味がない」と切り捨てるのでもなく、

今日は30kmを使って、何を練習したのか。

そこを自分で説明できれば、その30kmを次の練習やレースに活かしやすくなる。

今の私は、そんなふうに30km走を考えています。