北海道マラソンには、サブ4やサブ3.5といったタイム別の公式ペーサーがいません。では、自分の目標タイムに合わせて、どのようにペース配分を考えればよいのでしょうか。
今回は、RUNNETで公開されている過去のラップやコースマップ、高低図を使って考えます。
公式ペーサーがいない北海道マラソン
前回の記事では、北海道マラソンに大会公式ペーサーはいるのかを調べました。

北海道マラソン2026では、ゲストのこわだ君がサブエガ、プロギングジャパンが完走を目指すランナーをサポートします。
しかし、サブ4やサブ3.5といった目標タイム別の大規模な公式ペーサーはいません。
目標タイムに合わせて走るには、自分でペースを設計し、レース中に調整していく必要があります。
単純に42.195kmを目標タイムで割れば、1kmあたりの平均ペースは計算できます。
しかし、実際のレースにはスタート直後の混雑、コースの起伏、給水、トイレ、後半の疲労などがあります。最初から最後まで、まったく同じペースで走れるとは限りません。
そこで参考になるのが、過去に同じ大会を走った人の記録です。
RUNNETで過去のラップを見る
RUNNETの大会結果では、5kmや10kmなどの計測地点ごとに、スプリットタイムやラップタイムが公開されている大会が多くあります。
スプリットは、スタートからその地点までにかかった時間。ラップは、ひとつ前の計測地点からその地点までにかかった時間です。
目標タイムに近い人の記録を探せば、実際にどのようなペースで走っているのかを確認できます。
ただし、ゴールタイムが近ければ、誰のラップでも参考になるわけではありません。
まずは、私の北海道マラソンの記録をご覧ください。
私の「完歩ラップ」は参考にならない

これは、私が2024年の北海道マラソンを走ったときの記録です。
怪我と膠原病の悪化のダブルパンチで、大会目前で入院しました。杖をついたままゼッケンを引き取りに行ったくらいなので、半分走れただけでも十分満足できる結果となりました。
15km地点の少し先にある私設エイドでいったん歩道に上がり、休憩させてもらい、そこからは得意のラン&ウォークでゴールを目指します。
後半はほとんど徒歩です。もし、5時間15分前後での完走を目指している人が、このラップをお手本にしたら大変です。
前半を1km6分前後で走り、後半は1km9分を超える。最終的なゴールタイムは5時間14分ですが、これを「5時間15分のペース配分」として参考にすることはできません。
RUNNETで記録を探すときは、ゴールタイムだけでなく、途中のペースがどのように推移しているかを見る必要があります。
安定して目標タイムで走る人を探す
では、どのような記録を参考にすればよいのでしょうか。

これは、私と同年代のある女性の記録です。
2025年3月以降のRUNNET大会結果では、ラップタイムだけでなく、ラップごとのペースもグラフで確認できます。
彼女は同じ練習会に参加したこともある知り合いで、どの大会に出ても必ず3時間50分台でゴールする、安定感のあるサブ4ランナーです。
一度だけ偶然サブ4で走った人ではなく、コースや天候が変わっても同じくらいのタイムでまとめられる人です。
このような人の記録は、ペース配分を考えるうえで参考になります。
そして彼女のラップを見ると、北海道マラソンがどのようなコースなのかも見えてきます。
5kmを過ぎるとペースが上がる
サブ4に必要な平均ペースは、1kmあたり約5分41秒です。
ただし、スタートラインまでのロスタイムや給水などを考えると、実際に走っている区間では1km5分30秒前後を目安にする人も多いでしょう。
彼女の記録も、序盤はおおむねそのペースで進んでいます。
そして5km地点を過ぎると、少しペースが上がっています。
ここで北海道マラソンの高低図を見てみます。

コースは最初の5km付近まで緩やかに上り、その後は下りに転じます。
彼女が5kmを過ぎてペースを上げたのは、最初から無理に飛ばしたのではなく、コースの下りを利用した結果と考えられます。
ラップの数字だけを見ていると「ここからペースアップした」としかわかりません。高低図と重ねることで、なぜペースが変化したのかを推し量ることができます。
25km地点でペースが落ちる理由
彼女のグラフでは、25km地点を過ぎたところでペースが大きく落ちています。
ここに何があるかというと、前田森林公園の大エイド(ランナーサポートエリア)です。
北海道らしい給食を楽しみにしているランナーも多く、立ち止まったり、歩きながら補給したりすれば、その区間のラップは遅くなります。自分がノンストップで走ろうとしても、そういったランナーが周囲にたくさんいて、思うように前に進めないことはままあります。
目標タイムを狙う場合でも、給水や補給をすべて無視するわけにはいきません。

新川通の復路では無理をしない
折り返し地点を過ぎ、新川通の復路に入ると、彼女のペースは1kmあたり6分近くまで落ちています。
この時点で時刻は午前11時台です。
新川通には直射日光を遮るものがほとんどなく、晴れていればアスファルトからの照り返しもあります。
北海道マラソンの中でも、特に厳しい区間です。
彼女はここで無理にサブ4ペースを維持せず、体力を温存したと考えられます。
目標タイムを狙うからといって、すべての区間を同じペースで押し通す必要はありません。
条件の厳しい場所では少し落とし、走りやすい場所でもう一度戻す。コース全体を見て配分を考えることが大切です。
北大構内でサブ4ペースを取り戻す
40km地点を過ぎ、北大構内に入ると、彼女は再び1km5分30秒前後までペースを上げています。
北大のメインストリートは、木陰の中を走る長い直線です。
私たち札幌のランナーも、普段からスピード練習などに利用しています。
暑さの厳しい新川通の復路ではペースを落とし、北大構内に入ってからもう一度サブ4ペースに戻す。そして、そのまま3時間50分台でゴールしています。
同じペースを守り続けたわけではありません。
他の人のラップは、自分のペースを考える材料になる
彼女の走りからは、北海道マラソンのペース配分を次のように考えることができます。
- 最初の上りでは無理にペースを上げない
- 5km以降の下りを利用して巡航ペースに乗る
- エイドで使う時間も見込んでおく
- 厳しい新川通の復路では無理をしない
- 余力があれば北大構内からペースを戻す
最初から最後まで同じペースを守るのではなく、コースや時間帯に合わせて力を配分し、最終的に目標タイムへまとめています。
もちろん、ひとりのラップがすべてのランナーにとっての正解ではありません。当日の気温や風、体調も違います。
それでも、ゴールタイムだけを見るより、目標に近いタイムで安定して走る人のラップを高低図やコースマップと照らし合わせたほうが、北海道マラソンをどう走るか具体的に考えられます。
RUNNETには、過去の参加者が残したたくさんの実走データがあります。公式ペーサーがいなくても、その中から自分に近い走り方を探し、自分なりのペース配分を組み立てることはできます。
では、考えたペース配分をどのように数字にし、レース中に確認するのか。
GarminのPaceProやExcel、Googleスプレッドシートでの計算、ラップ表の作り方については、次の記事で紹介します。

